LEMON

この世界の片隅にのLEMONのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.5
この世界の片隅だけどとても普遍的な日常的に愛を。

第二次世界大戦の、戦争の中での日常の豊かさ・切なさ・尊さを描いている。
戦争の悲しさや痛みというのは当たり前に教えられるけど、その中にもある日常の、それでもある豊かさや喜びを感じられるとても良い作品。
主人公ののんの吹替の言葉も、のんの少し噛みそうなあどけない言葉がリアリテイを感じさせて良いキャスティングだなぁと感じる。

主人公のすずがとても明るい子で、とても愛おしい存在なんだけど、映画を通して戦争を反映するかように一瞬一瞬言動が曇っていくことで、戦争の痛ましさを感じてしまう。思春期から大人への階段の中での思考の迷いが本当に心に投げかけるものがある。戦争というものを記憶とした後世に伝えるためにとても良い作品だなぁと感じます。

全体を通しての印象的なアートワークもすずを通しての絵画中の見せ方をしており、すずの主観と日常の記録との連続で客観的に戦争を感じさせつつ感情移入してしまい泣いてしまうのではないか。

この映画の醍醐味は日常である。それでもある日常。人と人のつながり、尊さ、当たり前の喜びがいつでもそこにあることを感じる。
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