エンポリオ

湯を沸かすほどの熱い愛のエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

嘘と真の化かし合い。明滅する表裏。各俳優陣の演技力と人物相関が作り上げる人間賛歌。
手遅れの末期ガンを宣告された双葉。自らと家族の過去を清算し、身の回りの人々を体の芯から温めるような愛を、彼女は振りまく。
主要な俳優陣の演技がとにかく優れていたように思う。特にオダギリジョーに関して言えば、圧巻の一言であった。役柄の人物像とオダギリジョーという一人の人間像との相性が抜群であった点はキャスティングの手腕に拠る所も大きいのだろう。
物語の味がし始めるまでの展開がユルユルで徐々に不満が溜まり、後半への不安も膨らみ出す頃に、序盤で抱えさせられた疑問点が綺麗に解消されていき、その中でも物語としての出来映えが非常に良かったと感じた。
双葉という人間が、末期ガンというスイッチはありつつも、魅力的な人物として仕上がっていた分、彼女を失う最終盤がどうしたって手薄に感じてしまうのは仕方ないと分かりつつも惜しい点であった。
残り40分の段階までは5.0を付けざるを得ないほどの作品だった。あの無言の平手打ちの演出の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。
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