なお

シャザム!のなおのレビュー・感想・評価

シャザム!(2019年製作の映画)
4.2
"マジックワードは「シャザム」"

DCEU第7弾。
幼いころに母とはぐれ、その後里子となるが23回もの脱走経歴ありという問題児・<ビリー・バットソン>が主人公。

彼はとある運命から魔術師の手ほどきによって、スーパーヒーロー・シャザムの力を受け継ぐ。
「生き別れになった母を探す」という自身の目的に覆いかぶさる、突如得たスーパーパワーの使い道。
時に選択を誤り家族と衝突を繰り返しながらも、ビリーは彼自身の目的を果たすため、迫りくる脅威へと立ち向かう。

✏️おちゃらけヒーローの重要性
DCEUの世界にもこんなふざけた(失礼)ヒーローがいたんですねぇぇ~~~と痛く感心。
今までDCEU作品の主人公を張ってきた、バットマンやスーパーマンにワンダーウーマン、アクアマンはどちらかというと「硬派」寄りのヒーローで、時に冗談こそ言うけどゲラゲラ笑うようなギャグポイントを提供してくれるヒーローではない。

強いて言えばフラッシュがそういった「おちゃらけキャラ」ポジションを担うところなのだけど、本作公開当時でも現時点でも彼単体の作品というものは存在していない。

そこで彗星の如く登場したこの「シャザム」というふざけたキャラクター。物語序盤は存分にスーパーパワーの使い道を誤り(時に人助けもしているが)、ATMを誤動作させて銀行強盗まがいのことまでしていた。

そしていざヴィラン(Dr.サデウス・シヴァナ)が登場して、
「あっこれ無理だわ」と判断するや否や背を向けて敵前逃亡。
かのスーパーマンにも匹敵する力を持ちながら、その力の制御と使用方法がマッチしていないというこのアンバランスさも見ていて楽しい。

また、「シャザム!」と呪文を唱えるだけでふつうの人間であるビリーからスーパーパワーを持ったヒーローへと一瞬で変化を遂げてしまう、という設定はなかなか新鮮。

バットマンやアイアンマンのように肉体を強化するボディスーツを身に纏ったり、ハルクのように異形の者に姿を変えることができたり、スーパーマンのようにそもそもその人のフィジカルが強い、という設定のアメコミヒーローは数多存在する。

まるで日本を代表するヒーロー・仮面ライダーの「変身!」の如く、呪文一つで姿形が全くの別人になるアメコミヒーローという存在は実に貴重に映った。

✏️母をたずねて
本作の評点を高めにしている理由のひとつ、それは「家族」。
なぜかここのところ年を取るにつれて、家族をテーマとした作品に対しては涙腺がヨワくなっているようで…笑

個人的には、もっともっと里子として夫妻の元に預けられた子どもたちを物語に絡めてくれても良かった。
ビリーがピンチに陥った際の展開は、さながら「アベンジャーズ」にも比肩する感動を覚えた。

✏️テンポ
しかし手放しで褒められるか、と言われると疑問。

ビリーがシャザムの力を手に入れ、その力を心ゆくまで謳歌するというシーンは若干冗長な気も。

戦闘シーンもなんだか間延びした感じ。
週刊連載の漫画作品で、バトルシーンだけで2か月やられているような「そろそろもう、決着つけても良くない?」的な気分。
ヴィランの細かな行動にも粗が多く、疑問符がつく。

☑️まとめ
そこまで期待せずに見たせいもあるかもしれないが、「家族とヒーロー」。
自分が三度の飯よりも大好きなこの要素を、それ以上でもそれ以下でもない必要十分の量で収めてくれた点は大満足。

ビリーの人生に欠けていた「家族」というピースは本作で埋まった。
さて、既にタイトル(原題)が公開されている次回作では何が描かれるのか…

🎬2022年鑑賞数:84(35)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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