2D字幕版を鑑賞。
一言で言うと、勿体無い映画だった。もう少しで近年傑作揃いの『宇宙でひとりぼっち映画』の系譜(「ゼロ・グラビティ」「インターステラー」「オデッセイ」)に連なる事が出来たのに…。
映画は、中盤までは物凄く楽しめた。
主人公が宇宙船の中で予定より90年早く一人で目覚めてしまう展開は、予告編で観た通り。だが、彼が状況を把握するにつれて次第に絶望と虚無に呑まれていく様子をじっくりと描いているのが、後々活きてくる。
そして、彼がある許されざる選択を思い付く事から物語は思いもよらぬ方向へ動き始める。
この展開は予告編では巧妙に伏せられていた為、劇場で観た時は結構ビックリした。
以降、第二の人物の登場から秘密の露見による修羅場までグイグイ引き込まれて、この許されざる罪を背負って始まった関係が、どう着地するのか固唾を飲んで見守っていた。
しかし第三の登場人物の出現以降、予告編で観た通りの悪い意味で「普通」のSFサバイバルアクションになってしまい、物語のテーマは棚上げされた挙句に、大きな危機を共に乗り越えた事で不問にされてしまう。
これには、少なからず残念な気持ちにさせられた。
たとえ最終的な着地は同じでも、そこに至るまでを前半と同じく丹念にいくつかのエピソードを交えて描いてくれていたなら、と思わざるを得ない。