jonajona

ザ・サークルのjonajonaのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・サークル(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

『退屈』タグにまとめちゃいましたが、すみません。退屈では無かったです。最後までどうなるのかヒヤヒヤして個人的には中々楽しめました。

いいね!の為に生きている、とはかなり現代人の心をドキッとさせるいい広告コピーですね。内容も言葉に偽りなくそんな感じで、GoogleかAppleのような超大企業『サークル』に入社できたフレッシュ主人公が、社の企画のためにあまりにもネットにあけすけに自分を晒しすぎたが為、歯止めが効かずドエライことになっていくと言うSFスリラーです。

○GOOD
・『あ〜素敵な会社!✨』
→『…ん?あれ?怖、やばくねコレ』と
なってくグラデーションが上手い笑

初めは一見超ホワイト企業に見える『サークル』が人脈と情報のネットワークを駆使して社会に与える善良な面が目立ちますが、次第にネットワークを支配した監視システムの恐怖感が出てくる。
初めは初対面の別部署の人間が自分のプライベートを知ってる(こういうこと、今もうありますね)位のことが、次第に逃亡犯を市民の目で逮捕できるかやってみよう。次は…。何千万の人間が目となり互いを監視して暴走してる様が怖かったです。

・ディストピア映画らしく、
ロクな終わり方をしていない。

人気女優エマ・ワトソンが出てるので、もしかしたらライトで緩い作りになっちゃうかと思い込みましたが杞憂でした。
サークルのCEOトムハンクスが一見悪事を暴かれて一件落着に見えますが、エマワトソンも『サークル』のネットワークシステム自体の価値は存続させたい。(友人が死んでも何が危険か理解できてない)『もう疲れた。表と裏の顔を使い分けるのに』という言葉にあるように、彼女は統一化自体には賛同してる。
その結果、きっとエマワトソンがトップに下克上してもシステム自体は存続するのでしょう。そして監視社会の出来上がり、頭を挿げ替えたヒドラのようなもので、『ある一定の段階までシステムができると、トップの存在すら必要ではなくなる』監視社会の恐ろしさを感じました。人々が疲れて明け渡すのを待てばいい、というね。

○Hu…
とはいえやっぱりこのサイトでなぜ評価点がひくいのか?と考えたんですが、欠点として以下のことがあるからかなと。
・ラストの畳み掛けが何を意味してるのかイマイチ伝わりづらい。バッドエンドなのかハッピーなのか?どちらにせよ演出が弱い為モヤッとなる。

・起こってることは酷い事だけど、トムハンクス演じるCEOが実際にどんな悪事を働いて隠匿してるのか分からない。

・正直お客さんはもっとエマワトソンに酷いこと(エロい事も)起こるのを期待してだと思う。少なくとも僕は期待してた。
例えば親のセックスじゃ無くて、エマワトソン自体がセックスする場合は、どうすんだろ?とか。

・主人公に共感出来なくて、やや説教くさい感じを受ける。
ネットと切り離しては生きていけない現代的な人物像。これは感情移入無くして成立しないキャラだけど、サークルのせいで彼女が壊れてく友人を慰めながらも、トップ会議では1番過激にサークルの監視システムを推進する。
色々な要素があるので理解はできるけど、これじゃ自己矛盾を起こしてて(それがテーマの肝ではあるけども!)それを誰かが指摘することもないので見てて混乱する。
せっかくみんなが注目しておそらく狙い通りのターゲットがこの主人公を見てるのに、かなり勿体無いキャラ造形。
立場によって意見を変える普通に嫌なやつだった。

・エマワトソンが急激に成り上がってる意味が分かりづらい。
背景としてサークルのおかげである事故から救助され、そのため社内で有名人だったことでCEOが目をつけた…という感じはあるものの、そこから破竹の勢いでトップ社員みたいになったのちょっと謎。
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