このレビューはネタバレを含みます
面白かった。サクッと見られる良質ジュブナイルPOVホラー。この世で一番怖いのは、何をしでかすかわからないボケ老人！（違う）
とにかく老夫婦の不気味さの見せ方がうますぎる。後ろを向いたら半ケツが丸出しの婆さんはめちゃくちゃ怖い。オーブンの中に入って掃除させるくだりもソワソワした。近所の人たちが来ると老夫婦が不在だったり、娘の話になると挙動不審になったり、壁をかきむしる行動だったり、伏線もかなり丁寧でテクニカルなシャマランお家芸。認知症だと思わせることで「怖がったら失礼」だと誘導するのも上手い。子供たちが"ドキュメンタリー映画のためにカメラを回している"という設定なので、POVだが基本的にカメラが固定されていて観やすかったのも良かった。
そして出て行った父親のことがトラウマになっている姉弟が、今回の事件でそれを乗り越える勇気を手に入れる展開も好き。決して説教臭い台詞などではなく「ラップをする弟の後ろで鏡を見ながら髪を梳かす姉」というユーモラスなエンドシーンでそれを伝える手腕は見事。
どうしてそのタイミングで地下室に行くのか？その状態でカメラを構える？など納得しづらい行動も散見されたが、物語をサクッと進めるためにはしょうがなかったのかな。まぁ映画としてのテンポはかなり良かったし。結局老夫婦は認知症の祖父母ではなく精神病院から脱走した患者たちだったわけだが、本物の祖父母を殺してしまっているというのはちょっとやり過ぎかなと思った。もっと計画性とかがなくてマジで何を考えているのか理解不能な方が怖かったと思う。ただ、隣人の女性が首を吊っているのが一瞬映るのはゾッとしてとても良い。
実際、怖くて楽しい良質な映画なのは間違いない。めちゃくちゃ怖いのにめちゃくちゃ面白いのは凄いと思う。どんでん返しと伏線もしっかりとした安定のシャマラン節。観て良かった。
