デニロ

女が眠る時のデニロのネタバレレビュー・内容・結末

女が眠る時(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

忽那汐里のしなやかな肢体を鑑賞出来ただけでも幸福だと思わなければならない。

話はよく判らない。原作を読めば判るのかもしれないけれど、こんな出来の映画を観た後でわざわざ読もうとも思わない。西島秀俊の妄想が重ね合わさったような話で混乱の坩堝。何故わたしが妄想なのだろうと思うのかというと、西島は何らかの賞を受賞した作家で、少なくとも2作を上梓している。今は書けずにいて、編集者である妻小山田サユリに新作に取り掛かるように急き立てられている。

そんな折目に留まったのがビートたけしと忽那汐里の奇妙なカップル。そこから妄想が始まっていく、のではないかと思うのだが、現実がどこなのか、もはやわたしには判らなくなっている。

西島が何でこんなになっちゃったのだろうか、と呆然と見ているわたしはふとこれは編集者である妻が西島に次作を書かせようとの策謀ではないか、と妄想してしまう。編集者は作家から想像力を引き出す力を持っていると聞いているし。

でもな、仕掛けが大き過ぎはしないか。奇妙なカップルに目を向けさせたのは小山田であるとしても、忽那汐里が失踪して警察が出動し刑事の新井浩文が来るんだけどこれも仕込みなんだろうかとか、忽那汐里のメモから謎の店舗の主人であるリリー・フランキーの元へ走らされるのも小山田のシナリオ通りなのかとか、そしてたけしと小山田の絡み。虚しい。

ラスト。最新作大ヒットのお祝いを小山田の上司夫妻にフランス料理店でお祝いされている場面。小山田のお腹には赤ちゃんがいる。あの妄想を書き上げたのだろうか。この場面を現実だと思おうとしても、同じレストランにいることが不自然なビートたけしの登場ですべての紐付けが虚しくなる。

忽那汐里のしなやかな肢体を鑑賞出来ただけでも幸福だと思わなければなるまい。
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