わたがし

DENKI GROOVE THE MOVIE? 石野卓球とピエール瀧のわたがしのレビュー・感想・評価

5.0
 今まで散々かっこいいと思ってきたけど、映画を観て「こんなにもかっこいい生き方をしている人がいるのか!」とあらためて深い感慨と衝撃を受けた。とにかく新しくて暴力的で破壊的な音を追及し、時にふざけ、時にまたふざけ、その合間にまたふざけ、ふざけてふざけてふざけ倒す二人の姿に「男の生き様」を見た。
 大根監督のギュルギュルのCG演出、バキバキのカッティング演出と、電気グルーヴの耳を殴るような攻撃的なサウンドが絡まり合って、始終、目と耳の虐待を受けているような感覚になり、種類のわからない涙が出て身体が果てしない高揚感に包まれる。電気グルーヴに出逢えて良かった、映画という文化を好きになれた側の人生で良かった、と今までの自分の生き方は間違っていなかったのだと安堵する。
 それでもやっぱり不安は常にあるわけで、他人が羨ましくてたまらなかったり、劣等感の渦から抜け出せなかったりするのだけれど、そんな不安も「N.O.」の歌詞にゆっくりと抱きしめられ、暖かく溶かされていく。こんな人間(石野卓球)だって不安を抱えながら若き日々を過ごしたんだ。そう思うと自分だって何だって出来そうな気がしてくるし、何にでも挑戦できそうな気がしてくる。
 そして将来、何になるにしてもやっぱりこういう大人になりたいと思わずにはいられない。どんな時にも品のない冗談を言い合って、どんな時にもふざけてバカみたいなことしてゲラゲラ笑っていられる大人。そしてとにかく「自分のやりたいこと」を狂気的なまでに徹底して突き詰めていく大人。なんだかこうして言葉で表すとやたらに陳腐な感じがするけれど、本当にそんな大人になりたい!大人になんかなるか!
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