カルダモン

ニーナ・シモン 魂の歌のカルダモンのレビュー・感想・評価

ニーナ・シモン 魂の歌(2015年製作の映画)
4.2
とてもインパクトの強いドキュメンタリーだった。ニーナ・シモンの記録としてだけでなく、今現在に繋がるメッセージとして。
50s、60s当時のアメリカにおいて、黒人シンガーあるいは活動家としての彼女の立ち居振る舞いはどれだけ頼もしいものだったのか。記録映像から見るステージでのパフォーマンス、声は今も生々しく耳元で響く。むしろ今だからこそ。

差別が生む問題や事件は終わりが見えず、『Mississippi Goddam』の歌に始まり、過激な歌や発言によって徐々に彼女の歯車が加速度的に回りだす。
気が付けば家族さえも置き去りにして、国に留まることすら困難になり、黒人からも白人からも孤立してしまう彼女。
非暴力のままではいられなかったから。

真に解放された自由とは恐れがないことだと言う彼女。それは彼女自身に向けた言葉ではなく、黒人や白人に向けてでもない、ひとりひとりに向けて投げている言葉だと受け取る。


教会と音楽。サム・クックしかり、ドン・シャーリーしかり、アレサ・フランクリンしかり。父親が牧師であるという共通点。
根底には音楽と信心は同一なのだろうなということを思う。

シンプルゆえに強い声と言葉。
歌詞を是非
Ain't Got No, I Got Life
https://youtu.be/L5jI9I03q8E