ゆき

ポンヌフの恋人のゆきのレビュー・感想・評価

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)
4.1
まどろめ、パリよ。

足と片目。失ったものを補うために寄り添うような二人。
愛の証を確かめ合って、「愛ではちきれそう」なんて言葉にできてしまう関係。
生活の安定よりも、二人で“生きる”ために苦水だって喜んで飲む勢い。
ただ、悦びを知った代償は大きい。
学生の頃、鑑賞したときは正直のり切れなかった記憶がある。二人への感情より環境への偏見が勝ってしまったのかもしれない。
今回は、いつ壊れてもおかしくない二人の関係と、言葉数は少なくとも深まっていく愛情の脆さにぐっと引き込まれていた。
花火の上がる中、着飾らず踊りあかす二人の影に気づいたら泣いてたくらいに。
用意されていたという他の結末なら、どんな感情になったんだろう。

×××
閉鎖中のポンヌフ橋。天涯孤独の青年は橋で暮らしていたが、ある日車に片足を轢かれてしまう。そこを通りかかった女性は失明の危機に置かれていた。二人はホームレスとして生きながら、心を交わしていく。
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