コリー犬が主役のレスキュー・フィルム（チェイス・フィルムのヴァリエーション） 。ジョナサン・バートも指摘するように、映画のなかの犬（あるいは馬、イルカ）は「家族の喪失」を「全知の立場」から癒す存在である。
無論、本作は、犬、いや動物を主人公とした「物語映画」の嚆矢としても重要である。以降、動物映画は、映画史において主要な位置を占め続けるわけだ。
バートいわく「映画はモダニティーの中で動物が占める位置をテクノロジーがどのように動物を扱うかという問題の中で示す。動物は数多くの異なるショットに収められるが故に、これらを物語映画としてまとめ、成立させるためにはモンタージュ作業が非常に重要な意味を持ってくる。しかも動物には様々なサイズのものがおり、動きや動く速さも異なれば接近方法だって変わってくるのであり、その都度、技術の側は変化を強いられる。勢い、ストック映像が異なるプロットの映画において再利用される機会も増える。つまりは、同じ映像が様々な物語フィクション、とりわけ人間中心的なそれ、あるいは反物語に利用され、操作されるということだ」（Burt, Animals in film, 87）。
