ノラネコの呑んで観るシネマ

死の谷間のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

死の谷間(2015年製作の映画)
4.3
文明社会が滅び、汚染された世界から隔絶された山奥の谷に、マーゴット・ロビーがただ一人住んでいる。
そこにたどり着いたのがキウェテル・イジョフォー。
孤独から脱した二人は、適度な距離を取りながらも平穏に暮らす。
ところが、そこに二人目の男、クリス・パインが現れる。
シンプルな設定を活かした、ユニークな暗喩劇。
神が作りし第二のエデンの園を守るイヴの元に、遣わされたアダムは二人。
しかも信仰を持たない者と持つ者、黒人と白人。
表向きは仲良く日常を送りつつも、徐々に不穏な空気が高まり、三人の静かな葛藤の帰結する先に目が離せない。
あんなにメロドラマ風味ではないが、絡み合う三人のドラマはフレッド・ジンネマンの「氷壁の女」を思い出した。
実質的主人公はキウェテル・イジョフォーだが、彼の行動をどう解釈するかで物語の意味が変わる。
観る者の心を揺さぶりジャッジする、異色のポストアポカリプトSF。
ブログ記事:
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