Inagaquilala

死の谷間のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

死の谷間(2015年製作の映画)
3.8
「スーサイド・スクワッド」のマーゴット・ロビーには何故か縁があるな。「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のトーニャー・ハーディング役もそうだったし、この作品の、核戦争による放射脳汚染から逃れて、谷間に愛犬と住むアンという主人公もそうだった。まったく状況は異なる世界であるのに、どちらも孤軍奮闘する強い意志の女性を演じている。「スーサイド・スクワッド」のイメージを引きずっているのだろうか、でも、そんなマーゴット・ロビーは嫌いではない。むしろ好ましい部類に入る女優さんのひとりだ。

アンが生き残って住む谷間の住居は、およそ核戦争の痕跡など感じさせない静かな家だ。街に出ると人の影がすっかり消えたゴーストタウンが存在する。そんななかで、アンはコンビニから生活に必要なものを「盗んで」いくのが日常だ。アンの住む谷間が、何故、汚染からのがれているのか、あまり説明はないが、自然はまだそこでは生命を保っている。街での渉猟の帰り、防護服を着込んだ旅する男に出会ったことから、アンの静かな暮らしに変化が訪れる。

SF的設定ではあるが、物語は生き残った人々の人間模様に焦点が当てられていく。SFというより、ヒューマンドラマに近いかもしれない。作品は適度な緊張感に満ちており、次に何が起きるのか、そういった興味で引っ張っていく。全体的に悪くない演出だ。監督のクレイグ・ソベルはアメリが人、「コンプライアンス 服従の心理」という作品があるらしいが、こちらも観てみよう。何故か、アイスランドとスイスとアメリカの合作映画ということだ。そういえば、アメリカというよりも、ヨーロッパの作品という味わいもした。
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