Inagaquilala

ウォー・マシーン:戦争は話術だ!のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

4.0
それにしても、ひどい副題だ。ウイットもシャレもかけらもない。かといって内容をストレートに表すタイトルでもない。明らかにこの作品への理解に欠けるタイトルだ。ブラッド・ピットの映画製作会社であるプランBとNetflixが共同で製作した作品で、総帥のブラッド・ピット自らがいかめしいアメリカ軍の司令官役で主演も務めている。作品は冒頭からシニカルな警句が掲げられ、一筋縄ではいかない戦争映画だということを予感させる。

ブラッド・ピット演ずるグレン・マクマホン陸軍大将は、アフガニスタンの駐留米軍の司令官として、イラクでの実績をひっさげて着任する。グレンの使命は、泥沼化する紛争に区切りをつけて、勝利を導くこと。彼は単なる軍事力ではなく、現地の人間との友好を築くかたちで、この戦いに出口を見出そうとするが、ワシントンの政治家たちや上官たち、それに加えてメディアからもアゲインストの風を受けて、まさに戦場のドン・キホーテと化していく。

ややブラックユーモアも交えた異色の戦争映画になっている。ブラッド・ピット演じる司令官が猛々しく振る舞えば振る舞うほどそれはコメディとなり、さらに周囲の思惑に巻き込まれて、司令官自体も混乱の中に巻き込まれていく。さすが、かなりシニカルに戦争をとらえた作品となっている。監督と脚本は「アニマル・キングダム」のデビッド・ミショッド担当し、実在の将軍を取材したマイケル・ヘイスティングスのノンフィクションが原作となっている。内容的にもNetflixのチャレンジングな姿勢が表れた作品になっており、ハリウッド作品とは一線を画す、見事な批評眼も秘められている。
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