爆裂BOX

チェイサーの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

チェイサー(2017年製作の映画)
3.7
ハル・ベリー主演のサスペンス・アクションです。
シングルマザーのカーラはいつも訪れる公園で一人息子のフランキーを何者かに車に乗せられて誘拐される現場に遭遇。自家用車で必死に犯人を追跡する…というストーリーになっています。
冒頭で子供の成長撮ったホームビデオ映像が流され、そこから遊園地に行って遊ぶ様子を映してサラッと母子の絆を描いた後は、息子が誘拐されてからはひたすら犯人の車を追い掛ける展開が続いていきます。序盤の主人公がウェイトレスとして働くダイナーの様子は、一人忙しくクソみたいな客達の対応に追われる様子が妙にリアルな辛さ出してました。ここで出てくるカップルの文句ばっか言ってる彼女とか家族連れとか後々絡んでくるかと思ったらそんな事なかったですね。
とにかく息子を誘拐した犯人を追跡するカーチェイスシーンがひたすら繰り広げられますが、巻き添え喰らった車が激しくクラッシュしたり、脅されて一旦追跡諦めそうになるも母の意地で追跡再開したり、犯人が車乗り変えたり、主人公の車も燃料切れの上大破して乗り換えたりと飽きさせないように工夫されているのは良かったですね。突然消えた家族を執念で探して犯人を追い詰めていくという設定は「ブレーキ・ダウン」や「チェイス/猛追」彷彿させます。
犯人側も追跡されてるのに気づいて車から物やタイヤ落としてクラッシュさせようとして来たり、白バイ警官に助けを求めたら車ごと体当たりしてきて挟んだり、一般人も平気で跳ね飛ばしますし逃げたと思わせて戻ってきて不意打ちで突っ込んで来たり、車から降りて来てショットガンぶっぱなして来たりとかなり凶悪でそれもまたスリルを加速させてくれます。
主人公カーラはウェイトレスしている普通の母親なので、とびぬけた戦闘能力など持ち合わせてはいませんが、ひたすらに大切な息子を取り返すという執念と根性だけで犯人に食らいついていきます。ガス欠になって車を乗り捨てて鬼の形相で走っていくシーンは凄い迫力でした。ハル・ベリーの途中で事故って顔あざだらけになったりしながも追跡続ける体当たりの熱演ぶりも良かったです。途中で保安官事務所に助け求めるも、頼りになりそうもなく、壁に貼られてる行方不明になった子供達の写真見て「待ってるだけじゃだめだ!」と行動していく所もアツくて良かったですね。
まあ、結構一般人巻き添えにされるけど、後で大丈夫なのかとは思っちゃいますね。特に燃料切れでストップした後通りがかった車のオジサンは止まって主人公乗せたばっかりに突っ込まれて可哀想。犯人に車ではねられて動けない所を他の車に轢かれそうになった一般人を身を挺して助けるシーンあるのでそこらへんに気は使ってるみたいですが。
誘拐犯の本拠地に辿り着いてからの探索と攻防戦もハラハラさせられました。桟橋での戦いは相手も女とは言え体格も体重も向こうの方が明らかに上だから肉弾戦になったら負けそうで緊張感ありましたね。銃も持ってるし。ここで誤射される犯人の飼い犬可哀想だった。
納屋の屋根裏で息子と別に誘拐されてた少女二人、主人公の呼びかけにもなかなか降りてきませんでしたが、一応、その後現れる三人目の犯人の正体突き止める為の伏線だったのかな。倒した犯人に向って「誘拐する子を間違えたわね!」というキメ台詞かっこよかったですし、その後の息子と涙ながらに抱擁するシーンは「良かったね...」としみじみ思えました。
最初に親権問題出てましたが、その後全く触れられませんでしたね。まあ、それどころじゃない事態でノンストップで進んでたしね。でも、全米の英雄になったから親権は確保できそうではある。
午後のロードショーで流れそうなちょうどいい塩梅のアクションスリラーで楽しめました。