現代ではPCやスマホ普及により人と繋がるのが簡単だが、この物語の舞台であるタイの僻地の水上小学校ではそれが難しい。その代わりに新任の新米教師と前任の教師を繋げる日記、開校を報せに走るボートや１週間に１回届く恋人からの手紙、背比べをした柱の傷など…人と人とを繋ぐアナログツールが良い味を出していて、それら一つ一つに温もりが感じられた。会ったことがない相手を好きになるなんて考えにくいと思っていたが、日記や子供達の記憶から人柄や容姿を、柱の傷から背の高さを、雇い主から教育者としての評価を聞く内に、まだ見ぬエーンを想像し想いを馳せるソーンは可愛い。過去と現在の学校の出来事を違和感なく繋げた編集も面白く、タイの美しい景色と和やかな音楽に癒された。
