ジーハ

永い言い訳のジーハのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
3.6
西川美和監督ってどんだけ鋭い観察力
を持った人なんだろう?・・

本当は気づきたくない人間が持つ
嫌な本質や、身勝手でいやらしい感情…
監督はここでもそれをさらけ出し描いてた。


妻が死んだのに泣けない夫。
体裁ばかり気にするひと。
妻の死を知ってもなお別の
女性を抱こうとしていた。

妻が死んで悲しくないの?
え、もしかして解放された、
なんて感じてる…?

妻に抱き続けてたコンプレックス。

自分に自信が持てず
その弱さを虚栄心で蓋しながら
自分をごまかしてるひと。
幸夫が作家になる前から成功し、
彼を支えた妻に対しての劣等感や
嫉妬が男としてあったんだろう…

こんな感じで…序盤の幸夫には
好きな所を見つけられなかった。

そして幸夫(本木雅弘)は自分と同じく
妻を亡くした陽一(竹原ピストル)家族
のために(自己犠牲を払い)懸命に尽くし始める。
自分のした罪の赦しを乞うように、、
・・・私にはそう見えた。

妻をちゃんと愛さなかったこと。
他人の痛みを一緒に背負い救う事で
自分が救われる…何かで自分を肯定したい…
痛々しく恥ずかしい努力。

でもそれがいつのまにか彼の喜び
へ変化していく。。

彼は変わったのか?

その経験が本になり結果彼の作家
としてのポジションも上がってた。
彼の行動そのものが「永い言い訳」だった。

本を書き上げ彼の気持ちは浄化されたのか?
いや整理がついただけ…
たぶん…そう人は簡単に変われない。
でも何か始まりにはなったはず。

やっぱり幸夫に最後までいい感情は
持てなかったけど…(笑)
この作品で描かれていた彼の感情の
揺れに私はずっとリアルを感じてた。


幸夫を演じた本木雅弘。
幸夫の微妙な心情の揺れ、感情が変化
していく様子を巧みに演じ分けていた。
彼は幸夫その人だった。

へぇ、、
こんな繊細な演技をする人だったんだ?
今更ながらですけど、、上手い!

「おくりびと」も「しこふんじゃった」等
彼は賞をとってる有名作品に出てるけど、
恥ずかしながら観たことがなく、映画作品
での本木雅弘が私にはすごく新鮮に映った。

西川美和監督が描く世界は
ここでも人間のゆれる感情を
しっかり捉えた作品だった。

あ、またやられた…て感じ。


実は「すばらしき世界」のあと、
続けて西川作品が観たくなり、HDDに
ロングステイしたままだったこの作品
をやっと観ることができのですが、、
だけどこれまた…
自分の感じた事をちゃんと感想に落とし
きれないまま今に至ってました。

もうそのまま気持ちをあげました。
↑まとまりのない呟きです…
ごめんなさい!(笑)
ジーハ

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