Inagaquilala

13時間 ベンガジの秘密の兵士のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.7
正確にストップウォッチを持って測ったわけではないが、この作品の中で30秒以上のカットはほとんどないと思われる。どのカットも10秒に満たないうちに次のカットへとつながる。

監督のマイケル・ベイはミュージックビデオやコマーシャルフィルムからの転進組だけに、カットカットはかなり短い。しかもそのカットの中ではカメラも動く。

観ているほうとしてはかなり忙しい視聴行動が要求されるが、その切り替わりの速さがつくりだすスピード感とリズムがマイケル・ベイの映画の最大の特質かもしれない。

戦闘シーンにしても、瞬息のカットの切り替わりで、かなり速いテンポで進み、登場人物に思い入れしている暇などまったくない。まるでニュースフィルムでも見ているようにシーンは進行していく。

この映画の冒頭には、あえて「THIS IS A TRUE SYORY」(これは真実の物語である)というクレジットが掲げられていた。「真実」とは2012年に起きた「アメリカ在外公館襲撃事件」で、リビアのベンガジの領事館が襲われ、アメリカのスティーブンス大使ほか4名が殺害された事件だ。

映画は、孤立無援の中でこの襲撃に闘いを挑んだ6人のCIAの特殊訓練を受けた警備兵の13時間を描いている。警備兵たちは皆、腕には自信はあるが、チーフと呼ばれるCIAの現地責任者とはソリが合わない。領事館への支援もチーフの反対を押し切ってのものだった。

闘いが終わり、最後に主人公がアメリカにいる妻に電話をかけるシーンがあるが、ここだけが唯一長いカットであったように思う。

「アルマゲドン」や「トランスフォーマー」の監督がつくった実録映画だが、無用な感情移入をさせないところは評価しても良いのではないかと思った。「実話に基づいて」と言い訳せずに、「TRUE STORY」と言い切ったところにマイケル・ベイの強い演出の意志を感じた。
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