青いむーみん

ディストラクション・ベイビーズの青いむーみんのレビュー・感想・評価

3.8
 18歳を迎えるとある地方では一人前とされる。「好きにしろ」そうやって野に放たれた男は暴力のみが生きがいの人間だった。
 柳楽優弥扮する芦原泰良はモンスターだ。だが感情がないわけではない。一番楽しいのが暴力を奮っている時というだけ。その暴力に魅せられた北原裕也はひたすら女を殴る、泰良を味方につけて強気になると男を殴って後は泰良に任す屑だ。万引き中毒のキャバ嬢那奈は偶然拉致される。
 こんな人格の人間3人だがその背景は描かれない。泰良はいかにしてそうなったのか、裕也はなぜ女を殴りたかったのか、那奈はなぜ万引き中毒なのか。見終わっても答えはない。なぜならば、そこを見せる気はないから。この映画はそんなものではないのだ。一人のバイオレンスモンスターの暴力が街に、四国に伝播していく、ただただ純粋な想いが伝わる系ムービーだ。
 暴力一辺倒のこの映画はとにかく暴力にリアリティがないと一切価値が無い。そこはもちろん力が入っている。はっきり殴っているように見えるし(実際菅田将暉は小松菜奈をガチで当てて殴っていたようだ)、実際の喧嘩みたいに泥臭くて非常にリアルだったのでストーリーがなくても退屈しなかったのだと思う。
 今回の小松菜奈はとにかくエロい。頑張っていると思う。しかし裕也に犯されるシーンを途中で切っちゃうのはバイオレンスリアリティ映画としてはまずい。まぁまだ無理なんだろうね。しかしそうなるとじゃあ違う子でよかったんじゃあ・・・となる。事務所がどうとかスポンサーがどうとかはあるんだろうけどね。
 あと、冒頭のワンストロークで「あ!これ向井だろ!?」と嬉しい悲鳴を心で上げてましたがやっぱりそうでした。バキバキクリーンなストロークにファズ全開のノイジーなアドリブギターとかもう奴しかいない。海の風景とこれから起こる事件が混ざり合っているような音楽で、冒頭でその不穏さが伝わる正に狙い通りだったのではないだろうか。