チブ夫

ヒトラーの忘れもののチブ夫のレビュー・感想・評価

ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)
3.5
冒頭、一人の軍曹が、デンマーク国旗を持って歩く男に理不尽な暴行を加えるシーンが映し出される。これがいきなり異質で、加害する側がデンマーク人で、加害される側がナチス兵という構図。
戦後の敗残ナチス兵に対する憎しみの募りは、例え相手が少年兵でも揺るがない。冒頭のデンマーク人軍曹の下で彼らは数千もの地雷の撤去に従事することになるのだが、彼らの純真さを前に、果たして軍曹の凝り固まった復讐心は揺れ動くのか、という。

こんな短尺にまとめるより、もう数十分、激動の最期で結んでほしかった。カメラ運びが単調すぎて次に何が起こるか分かり易すぎるのも勿体ない気がしたが、理不尽という言葉では片づけられない難しいテーマ性には、果てしなく考えさせられるものがあった。
チブ夫

チブ夫