アニマル泉

セザンヌのアニマル泉のレビュー・感想・評価

セザンヌ(1990年製作の映画)
4.3
オルセー美術館からの依頼で制作したが上映拒否されたストローブ=ユイレの問題作。詩人ジョアシャン・ガスケの「セザンヌ」のテキストの朗読、セザンヌの写真、絵、セザンヌが生涯描き続けたサント・ヴィクトワール山、ゆかりの場所、さらにジャン・ルノワール監督の「ボヴァリー夫人」からの引用、ストローブ=ユイレの自作「エンペドグレスの死」から2場面の引用、から成り立っている。テキストの朗読はストローブとユイレ自身が行っている。
本作はセザンヌの絵画の本質を描きながら同時にストローブ=ユイレ自身の見事な映画論にもなっている。「光」の大切さ。まず「見る」こと。解釈してはいけない。感光紙になること。そして、線を見つけること。大切なのは「色彩」だ。色彩は表層的ではなく奥深い。「色彩」と「デッサン」 全ては単純でなければならない。そして方法を見つけること。観念で描いてはいけない。
ルノワールの「ボヴァリー夫人」はセザンヌの絵の青い布から連想される。引用部分のルノワールならではの至福感が素晴らしい。セザンヌのオレンジの静物画が圧巻だ。
アニマル泉

アニマル泉