青いむーみん

マネーモンスターの青いむーみんのネタバレレビュー・内容・結末

マネーモンスター(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

 ジョディ・フォスター監督作品。今作は株式投資がメインガジェットとして作られているがあくまでもガジェット。テーマは自分の価値を見つけられない男同士の出会い、そしてそこからの成長だ。
 この映画主役二人の特に、ジョージ・クルーニーの感情の動きが重要なのだがイマイチはっきり描かれているように見えない。だから自分の解釈を書いていこうと思う。あくまでも非常に好意的に見てこう見えるという解釈だ。
 ジャック・オコンネル扮するカイル・バドウェルは低所得者であり、恐らくいい教育も受けられていない。成功体験がないまま大人になってしまったので努力が成功に結びつくというロジックを信用出来ない可哀想な若者で、親の遺産を全て一攫千金のため大して知識もない株に、あくまでバラエティ財テク番組であるマネーモンスターを信じて投資してしまう。テレビジャックで彼女に全てを知られてしまい、それはそれはボロクソに言われる。今までずっとためてきた鬱憤を全て吐き出すかのようにボロクソに。
 ジョージ・クルーニー扮するリー・ゲイツはお調子者だけども周囲の評価を気にしている小心者で、ジュリア・ロバーツ扮するパティ・フェンが隣接する別の局へ移籍を図っていることで自分の価値について思い悩んでいるところにカイルによるテレビジャック事件が起こり、起死回生の一手として自分の命で株価のつり上げを図るが失敗に終わり、自分の価値を知る。
 両者の環境は金銭面において真逆だが、自分という人間の価値においては同等だった。それに気付いたリーはカイルに同情し、彼女にボロクソに言われ我を失ってしまって銃を手元から離してしまったカイルに銃を忘れているぞと促す。そして警察に自分が撃たれるという情報を耳にしてしまい「そんなことされるぐらいだったらこいつの願いを叶えてやろう」とばかりにカイルを盾にラスボスであるウォルト・キャンビーの元へ向かう。
 まぁこんな感じだが、リーがカイルに完全に同情してしまう完落ちシーンがないため、え?なんで?のまま進んでしまう。これはダメだろう・・・クライマックスへの折り返しシーンはしっかり撮らないと・・・。彼女に罵倒されたところで、カイルを椅子に誘導しているけどもここでリーは自分の話をしてカイルと大して変わらないってところを見せれば明確に同情する理由が見えるのに。
 あとプロデューサーロンの役回りは本当に必要だったんだろうか。ほとんどノイズのようなもので終わった。撃たれたのも何のためか分からん。カイルをもっと絶望させたかったのか?必要なかったと思うが。
 一つ褒めておきたいのは爆弾の起爆スイッチがB接点であること。さすがカイル伊達に頭でっかちではないな。とここはホントに褒めてしかるべきアイデア。
 ネタバレで書いたのは薦める気が特にないからだけど、これはもっと上手くリーとカイルの関係を描ければ良くなったのになぁと残念に思う。間違いなく価値があったのはカトリーナ・バルフを少ない時間ではあるが拝めたところ。