はる

ザ・ギフトのはるのレビュー・感想・評価

ザ・ギフト(2015年製作の映画)
3.8
殆どの言語での意味合いは“贈り物”ですが、ドイツ語では“毒”を意味する『GIFT』。

贈り物は送り手の“情”を伝える手段として用いられることが多いと思います。
そしてその“情”は基本的に一方的に与えられるものですが、人間は家族を除く相手に何かを与えたと思わなければそれを素直に受け取りにくい…と何かで読んだ記憶があります(うろ覚えですが)。

一口に贈り物と言っても、そこに含まれる意味まで考えると毒にもなり得ますよね…。
そのため、贈り物は送り手だけでなく受け手のこともある意味試している…のではないかな、と思いました。

そして「君は過去を忘れても、過去は君は忘れない。」という言葉。
そのままの意味で、一度解き放った言葉や犯してしまった出来事は帳消しには出来ないんだと痛感させられました。

よく事実を問うとき「目を見て言えるか」など言いますが、無垢な我が子の目を見て自分が試されていることほど皮肉なことはないと思いました。


贈り物を通じて、このような人間関係を展開し人間の醜さや葛藤が浮き彫りになった今作は、大変面白いと感じると同時に背筋が寒くなりました。

ラストの解釈には見解が分かれると思いますが、私は胸糞の展開ではないと受け取り、そこに今作の秀逸さを感じました。

一味違った人間ドラマやサスペンスをご覧になりたい方に、お薦めです。
はる

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