はる

ノーカントリーのはるのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.2
運命論と、アメリカが辿ってきた道とこれからの行く末を絡めた作品。

そのなかで自分の行く末も、他人の生死までもコインに委ねてしまう運命論者のある男。
そんな男が他人に言われて初めてコインに頼らずに人を殺すことにしましたが、その結果があれとは…なんて皮肉なものだと思いました。
それもまたあんな晴れやかな陽射しの中で。

またある人は、希望を胸に警察官になったものの、結局何も成し遂げられない…そんな自分に疲れてしまったのかなと思います。

アメリカという国もまた、自らの意思でこのような一途を辿っていったという風刺なのかと思います。


若い頃にはたくさんあったはずの選択肢=コインを、いつの間にか失くしてしまう…。
若い頃の亡き父が吹雪の中松明を持って進んでいく姿こそ、今のアメリカに必要なことなのかなと思います。
だからこそ、NO COUNTRY FOR OLDMENなのではないでしょうか。


緊迫感のある魅せ方は、素晴らしいの一言に尽きます。
何度も見ていられない…!と目を覆ってしまいそうになりました。

もう若くはない人たちを多く登場させることによって、それをより印象付けていました。
ただ、正しい正義感があるはずの若者ですら結局はああなってしまうのならば、またこの歴史は繰り返されてしまう…という皮肉にも捉えられました。
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