傑作！足を洗えずだらだらとヤクの売人を続けるボンクラの男とそれを好きな女の話で、まるで、ブレッソンの『スリ』！！抑制された俳優の所作もブレッソン的。
金を貰ってヤクを渡す手の動きもそう。ﾎﾞｽが殺られるｼｰﾝはビビった。
ヤクを買いに来るひょろっとした田舎の純朴な若者の服装が、ﾘｭｯｸに黄色い熊さんTシャツなのはワロタ。俳優も超弱そうでした。
で、ﾗｽﾄのベルリンの街を映す空ｼｮｯﾄにぐっと来たよ。

ドイツでの生活を豊かにする為、麻薬の売人から成り上がることに希望を抱く青年が、愛する恋人や娘を失って行く。台詞もシチュエーションも必要最小限に切り取られているシンプルさが際立つ。その中で青年の見る風景描写が、彼の心象風景のように静かに広がり印象的。

ファティ・アキン作品に出てるピロル・ユーネルが芝居がかって見えるくらいに(そんな役だけど)リアリズム。

プッシャー→足洗う→皿洗い→すぐ辞める→プッシャー逆戻り→逮捕、残念。
ブレッソンの「スリ」をちょっと思い出した。