タマル

ベイビー・ドライバーのタマルのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
3.0
そういうとこやぞハリウッド!!
以下、レビュー。


前半は最高でした。
いや、超最高でした!!!!
カーチェイスはマジでここ一年で最高の出来だったと思います、カッコイイ!!
エドガー・ライトの選曲も相変わらずキレキレで良かった。
アンセル・エルゴールのノリノリ演技も感情移入できて、
こういう作劇法もあるのだなぁー
と目から鱗が落ちましたよ。

すわ今年NO.1 映画か!? と確信めいた期待を込めつつ鑑賞していたわけです。


に も か か わ ら ず だ ! ! !
なんなんだ!?後半の体たらくは!!
ストーリーが雑すぎるうえに、演出がヌルすぎるだろ!
どうしたんだ、エドガー・ライト!!
お前まで「ハリウッド」映画を作ってたら、もうアメリカの未来はないぞ!!!

例えばね。
ベイビーが組織に戻る理由一つとってもさ。
なんで都合よくあの場所に??
てのは、時短の手法として理解できるよ。
(馬鹿アクションの最大の特徴でもあるんだけど)

でも説得の方法があれじゃいかんでしょ。
組織から抜けない以上、なんとなくあーゆうラストになると予想できてるんだから、暴力の持つ「拘束力」とか「強制力」みたいなのはもっと丁寧に描かないとさ。
会話だけで済ますなら、セリフを練り込むとかカットを工夫するとか、もっとして欲しかった。

そこでいくと、いちばん具体的な暴力装置であるバッツってキャラクターも類型的で怖く感じなかった。
『ある戦慄』のゴロツキみたいに、制御不能な暴力てのは、あんな分かりやすい悪じゃないはずなんだけど。
結果として、
「暴力の連鎖とその周辺にある悲しみ」
ていうラストが全然効いてこなかったよ。

他にも、どうなの?
ていうシーンは多いけど、一番ダメだったのは、エレベーターのシーン。

『ディパーテッド』を観とらんのか!!!

あんなヌルい演出でビックリしないっての!!
舐めんなよ! 2017年だぞ!!

エドガー・ライトも、ついに、ハリウッド製「ご都合アクション映画」を撮る監督になってしまったか………。
そんな哀愁漂う一本でした。

前半部分だけは強くオススメします!!


追記
ベイビーが車自体にもっと愛情を持ったキャラなら良かったのに。
そんな簡単に乗り捨てられたら、スバル・インプレッサ(冒頭の車)も浮かばれんよ。
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