バービーのdendohのネタバレレビュー・内容・結末

隠喩でも何でも無いストレートなフェミニズム映画。でも娯楽的。クッッッソ面白くて特に不満なしの五点満点。

バービー世界のみならず、バービーという商品の持つ社会的位置づけや政治性をうまく理解した上でエンタメ作品として仕上げている（ただ私はバービー人形文化に殆ど接点がなかったので、ファン層がどう受け取るかは気になる所）

・バービーワールドでは男女の地位が逆転しており、政治や専門職は女性が独占している。現実の男性社会との対比的に描写されている（現実世界のフェミニズムの反転現象として、ケンの反乱に繋がる）
・現実世界に出てきたバービーは、街を歩くだけで男性達の暴力的な目線にさらさせる（それに気づかないケンとの対比）
・制作元のマテル社の役員が全員男性で、これに対する否定的なセリフが発せられる。
・ケン達に支配されたバービーランドを奪還するのに男の自己承認やマンスプレイニング欲求を利用する
・マテル社のCEOはステロタイプバービーの結末として『ケンとの恋愛』を挙げる（ロマンティックラブイデオロギー）が即座に否定

基本的に男性や男性社会を批判的に描いている。この為、フェミニズム嫌いのミソジニー男性が本作を嫌うのは当たり前なのだろう　が、特にフェミニズムに抵抗なく寧ろ歓迎している男性としても、鑑賞時に居心地の悪さを感じる事にはなると思う(笑)。これはこれで、なかなかおもしろい体験だった。

不変のバービーワールドの現状に疑問を持ったステロタイプバービーが現実世界に人間として転生？する展開も面白い。一見すると自己否定とも取れる結末だが、なんというか制作サイドやマテル社の真摯さを感じる。