SadaoMio

バービーのSadaoMioのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.8
ハリウッドってすげーな

ディズニーみたいに、おとぎ話チックにファンタジー路線で映画化するのかと思いきや

これでもか、と辛辣に人間社会を皮肉る仕掛けの数々。もちろんバービーランドのセットは完璧なファンタジーをこの世に現出させている(アカデミー美術賞を獲るのではなかろうか)。
しかし、本作の魂は、ありとあらゆる既成概念に疑問の矢をグサリと刺す、ファンタジーとは対極のリアリティにある。

バービーランドの女性活躍(男性不在)社会、そのアンチテーゼとしてのケン王国、どちらも極端に描くことで笑いを誘う。
だがその笑いの裏に「これは我々の社会そのものだ」と、背筋がゾッとする皮肉が仕込まれている。

ひとつひとつの笑いにジェンダー平等、マチズモ批判、ガラスの天井、ダイバシティ、、今まで当たり前と思っていた概念に疑問を感じる仕掛け

「男は男らしく、女は女らしく」がいかにバカバカしいかを、痛烈に皮肉り、笑い飛ばし、しかし大半の命題に回答を提示せずに物語は終わる。

バービー人形の映画で「考えさせられる」なんてことを誰が予想できよう

監督の作家性と超一級の娯楽を両立させたプロデューサーのマーゴット・ロビー、お見事。

ハリウッドってすげーな
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