面白かったです。面白かったけど、期待してた以上のナラティブはそこには無かったのが少し残念だった。なんせこれまで新鮮な語り口でフェミニズムを描いてきたグレタ・ガーウィグの作品だから、かなり期待値は高かっただけに、結局男vs女という二項対立の枠組みから外れてない。でも、長年敷かれてきた差別からの脱却と権利を主張するには、多少抜本的な所から過激さも厭わない方法を取らなければいけないと思っているので、最終的な形が正しいかは置いといて、これまでの定型と真逆の形を提示し、既存社会の"可笑しさ"を証明して、エンパワメントを起こす力は間違いなくこの映画にあった。ただ、この方法は額面通りに捉えると更なる分断を引き起こす可能性があるから、もっと革新的な方法をグレタには期待していた。
ビジュアルに関しては文句無く最高で、カラフルなバービーワールドに同居する無機質性が絶妙に表現されてる所は凄い。この映画って実存主義映画でもあるから、ラストのバービーの選択は、フェミニズム的文脈より、実存主義的文脈で感動した。めちゃくちゃメタでもあるし、様々な文脈を上手くまとめてるのは巧み。あと、音楽はやっぱりめっちゃ良かったですね。kawaiiとpowerが融合した推進力。特にCharliの曲とか。
