さうすぽー

ノクターナル・アニマルズのさうすぽーのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.4
自己満足点 86点

映画や小説を味わっていると、時々「何を思ってこんな作品を作ったんだろう?」と考えて怖くなる時があります。
もちろんそこには様々な経緯があると思います。

例えば、今年公開されたアリ・アスター監督の「ミッドサマー」。
あの映画では監督自らの失恋体験を元にシナリオを作ったそうなので、色々と恐ろしいですね(笑)


さて前置きは長くなりましたが、
今作は、そんなフィクション(本作では小説)の裏側を題材に描くスリラー。
エイミー・アダムス演じる事業家が、ジェイク・ジレンホール演じるかつての婚約者から彼女に捧げられた小説が送られ、二人の過去を追うような内容です。

現実のエイミー・アダムスの話と小説の世界が交互に描かれていき、彼女が恐怖に陥る様がリアルです。

小説の内容から、二人の過去を思い出していくストーリーに釘付けでした!


また、劇中でジェイク・ジレンホールが書いた小説の話も面白い!
この話だけでも映画が成り立てるくらいです。(その場合、オリジナリティが半減するけど)


エイミー・アダムスとジェイク・ジレンホールはどちらも演技が素晴らしいです!
二人とも実力派ではありますが、今作でもその実力に圧倒されました!


映像やカメラワーク、メイクや衣装等、美しくこだわりのあるものになっていましたが、監督の経歴を聞いてしっくり腑に落ちました。

トム・フォードは有名なファッションデザイナーの方だったんですね!
全然知らなかったのですが、「トム・フォード」という名前がアパレル商品のブランド名にもなっているそうで。

それもそのはず。登場人物の衣装をよくみるとかなり拘っているのが見えます!
全てが華々しい衣装ではありませんが、各登場人物や世界観に凄くマッチしています。特にエイミー・アダムスのスーツやドレスは有名なファッションの展示会に出されても良いくらいの完成度でした!


トム・フォードの才能も素晴らしいですが、この映画の面白さは原作小説の素晴らしさが如実に現れてこそだと思います。
自分は洋画の原作小説はあまり読まないのですが、今作は珍しく映画を観てから原作本を読みたくなりました。


惜しむらくは、エイミー・アダムスが主人公の現実世界パートの話をもう少し描いてほしかったところです。
意外と小説の世界の描写が多かったのですが、ストーリー自体は現実パートありきのお話なので、現代のエイミー・アダムスのストーリーが物足りなかった気がします。


こういった、小説の作家の心理を想像していく話はありそうで無かったので結構新鮮です。
お洒落なスリラー映画として凄く楽しめました、オススメです!