プペ

パージ:大統領令のプペのレビュー・感想・評価

パージ:大統領令(2016年製作の映画)
4.0
相変わらず「過激」過ぎるテンションに面食らう。
最高に良い意味で。

NFFAから命を狙われるローン上院議員と、彼女の護衛を務めるレオが武装集団に襲われるという、あまりにもフィクションが過ぎる状況下から始まり、すべての設定、展開が、″悪趣味″のオンパレード。
満足度は完全に前作以上。
もしも、前作を踏まえずに今作を観たならば、いきなりの暴走ぶりに対してひそめた眉が戻らないだろう。


「年に1度だけどんな犯罪も許可される」という、歪んだ制度が存在する社会を描く人気シリーズの第3弾は、新しく生まれ変わるアメリカ社会を目前に公開されたことで、シリーズ史上最もセンセーショナルなパージとなったのである。
非現実的な設定が持ち味だったこのシリーズが、あまりにリアルに傾いたのは皮肉な話だ。

狂気の法律「パージ」は、表向きは、国民のガス抜きのためのもの。
犯罪は確かに激減したが、真の目的は富裕層による貧困層や弱者という経済的負担の排除と、差別主義的な人口抑制。
パージを利用し、政敵を亡き者にしようと企むNFFA。
パージの裏側で富裕層や保守系政治家、教会や保険業界、そしてマスコミの思惑がからみ、事態はカオス状態に。
パージ反対派のローグ上院議員はヒラリー・クリントンを意識しているのは明らかだが、彼女を守るシークレット・サービス役で警官レオが登場するのがシリーズのファンとしては嬉しいところ。

トンデモない設定ながら、スマッシュヒットを記録し第3弾まで作られ、2018年には第4弾の公開も決定している。
「こんな法律があるのも悪くない」と、心の奥底で共鳴している私のような人間がいるからだろうか。

物事が悪い方向に向かい、誰にも制御できなくなった時、それを上回る非現実的な恐怖が不安のはけ口となることを監督のジェームズ・デモナコは理解している。
これこそがホラーやスリラーの醍醐味だ。




兎にも角にも「面白かった」

映画を観た感想を表現する言葉は様々だろうが、もっとも単純で且つもっとも重要なことは、鑑賞直後にこの一言が頭に浮かぶかどうかだろうと思う。
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