けーはち

ビッグ・ガンのけーはちのレビュー・感想・評価

ビッグ・ガン(1972年製作の映画)
3.2
殺し屋を引退して組織に妻子を殺された男が因縁ある親分衆を一人ずつ殺っていく陳腐な復讐劇の形なのだが、マカロニ・ウェスタンなどを多数手がけたイタリア人監督によるジャッロ(エログロ猟奇ホラー色のあるイタリアのスリラー)なので死体が鮮血を噴いて電車の窓にベチャッからの半身を乗り出してトンネル内の照明装置にガコンガコン衝突したり、マフィアが拷問のために廃車処理場で車の外からバーナーでじりじり焼いて死体処理はそのままベルトコンベアに流してペシャンコとか、モーツァルトの曲に乗せて女を執拗にボコスカ打擲するシーンなど、ウワッとなる猟奇暴力描写が多いのが特色。主演がアラン・ドロンだから復讐劇なのに激情を顕したりせず画面の向かって右側に撃つ時には身体の前面を見栄え良く見せるため左利きでもないのに左手でガバメントを構えたり、いちいちクールでスタイリッシュ。総じてそう面白くはないのにシャレオツな美意識とけばけばしい娯楽性に貫かれた妙な珍品。