ノラネコの呑んで観るシネマ

ストーンウォールのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ストーンウォール(2015年製作の映画)
3.5
1969年に米国で起こった、同性愛者による初の暴動"ストーンウォールの反乱"を描く。
だが、現実には黒人ドラァグクィーンとプエルトリカンのトランスジェンダーに率いられた暴動を、実在しない白人男性が起こしたという"脚色"をした結果、米国では肝心のLGBT社会からそっぽを向かれ大コケしてしまった。
ぶっちゃけ、面白いことは面白い。
自らもゲイをカミングアウトしているエメリッヒ作品としては、昨年の「インディペンデンスデイ」よりよっぽどマシ。
悪気はないのだろうが、コレは例えば公民権運動の映画でキング牧師を白人にしてしまった様なもので、やり過ぎと言わざるを得ない。
事実にフィクションを組み込むのは良い。
例えば、イギリスで同性愛者のコミュニティが労働運動を支援した史実を描いた「パレードへようこそ」では、架空の語り部を作ることで映画に入りやすくなっていた。
しかし、本作の様に実在の人々を消し去って、全く架空の人物を主役にしちゃうのは、実際に行動し、歴史を変えた人々への侮辱に思える。
基本的に過剰なポリコレは嫌いだけど、コレにはむしろポリコレを求めたくなった。
まあ、映画を入り口として、ホントの歴史への興味に繋がれば良いのだけど。