エンポリオ

ルームのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

ルーム(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

計り知れない親子愛と世界の広さ。
7年もの間納屋に監禁されその「部屋」で愛する息子ジャックを授かったジョイ。決死の覚悟で「部屋」から脱出するもそこにあったのは二人には広すぎる世界だった。
様々な映画や小説に触れてきたが、稀に見る飛び抜けた発想だった。陽と陰のどちらか一方に舵を切ってしまっていないために心情の変化にも無理がなく、どの人物のどの言動を取っても納得なり共感が出来る作りになっているように感じた。物語全体を貫く親子愛の骨組みにもなっている監禁という犯罪の持つ陰の要素が終わりまでずっと効いているために、物語性の強い作品でありながら深く考えさせられる作品になっているように思えた。
音や視覚などの感覚の変化が見事に表現されていて、観ている側にとっては当たり前の景色がふと最も新鮮な景色として目に映る感覚には心が揺さぶられた。
知ってること、知らないこと、知っているのに知らないこと、知らないのに知っていること。まだまだ「部屋」に生きているのかもしれないな、と痛感させられる素晴らしい作品だった。
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