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ボブという名の猫 幸せのハイタッチのskm818のレビュー・感想・評価

3.7
野宿生活を余儀なくされている薬物依存症の男がたまたま迷い込んできた猫と一緒に暮らし始めて運が上向き、薬物依存からも立ち直っていくという話。猫1匹連れてるだけでそれまで見向きもしなかった連中がいきなり寄ってきてあれこれ恵んでくれるのだから、すごいものだ。まさにお猫様様である。
話は多分猫がいなけりゃほぼ客席はガラガラであったろうなとイジワルに想像できる類のよくある話。猫を連れてるだけで寄ってくる連中がキモい。特にあの、子どものわがまま聞き放題でボブを売ってくれと言い出すババア。ほんと死ねばいいのにとしか。むしろ猫のせいで売り上げやがって畜生とか思ってるビッグイシューの売り子仲間とか、犬におしっこさせたりして嫌がらせするチンピラ連中の方に人間味を感じる。
親父の後妻も、問題起こす義理の息子がうっとおしいのはわかるが、偏見丸出しで最悪だ。
近所の女の子ベティはよくある個性的なセンスの子で(そしてまたよくある類の辛い過去)、ヴィーガンだが好感が持てる。まああの更生施設の職員といい、バスの乗務員といい、関係者もおそらく生きているんだろうし悪くは書けないだろうけど。
親父の後妻も最後にはサイン会に親父と一緒に来てたりする。
おそらくは主人公が恵んだ金で買ったヘロインで死んじゃったドラッグ仲間がいたんだが、そこはさらっと流される。
ジャンキーの更生話のひとつとして興味深くはあったが(動物であれ、いるだけで支えになってくれる存在って大事やな)、それ以上でもそれ以下でもない。
英国ってスーパーや公共交通機関に動物連れて入ってOKなんだなとか、あの公営住宅の家賃は誰が払ってんだとか、一文無しっぽいのにバスには乗れるのかとか、色々不思議なところはあるが、まあいいや。
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