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人間の境界のskm818のレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
3.8
ベラルーシとポーランドの国境で翻弄される難民たちと彼らをたすけようとする支援者たちを描く。どちらの国からも追い出されさまよっているというので、昔ユダヤ人を乗せた船が大西洋をさまよっていた話を思い出したが、この映画の舞台は2021年。難民たちも当然のようにスマホ持ってて、欧州に移住している親戚がいて、二か国語喋れるような世界。それなのにいつの時代かよというようなひどい扱いを受ける。国境警備隊がクソだが、彼らだって一人一人は家族だの生活だのある人たちで、したくねえよな、難民の遺体を鉄条網の向こうに放るとか。彼らとて学校では人権について教わってるはずなのに、組織の中ではそういうことをせざるを得ない。支援者たちも思いつきだけでは行動できなくて一時撤退したら数時間後にはもう難民は連れ去られていたりする。病院も難民の治療は拒んだりする。ひどい世界だ。皆ベラルーシに戻るのは嫌がるのでベラルーシがよりひどいのだろうけど、ポーランドもたいがいだ。国境設けて人を選別するシステムがクソだと思う。最後に映画の状況から一年後のウクライナとの国境付近が描かれる。こちらは追い返されることなく犬や猫や鳥籠まで抱えて移動するのも何も言われない。この違いってなんなんだろうな。ウクライナ人はよくて中東やアフリカからの難民はゴミ扱いって差別でしかない。
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