いち麦

チリの闘いのいち麦のレビュー・感想・評価

チリの闘い(1978年製作の映画)
5.0
第1部 ブルジョワジーの叛乱
大統領選出後あらゆる手段を使った右派の抵抗が絶妙な章構成で提示。直接民主制の脆弱性、主義の如何を問わず民主的政権交代達成後の持続困難さに思い廻る。ラストのフッテージが余りに衝撃的。

第2部 クーデター
第一部のラスト、未遂の衝突事件の顛末から大統領の立て篭もる宮殿空爆までが時系列に沿って描写。労働者の連絡会活動や軍による武器狩り。右派の様々な目論見を諸共せずスローガンを叫ぶ民衆デモが皮肉。

第3部 民衆の力
時間がクーデター成就前に戻り、民衆・左派の視点から描写…第一部と対称的な関係の部構成。叫ばれている通り、国有化した工場や会社を労働者が操業する、所謂、社会主義構造化への移行の困難さを実感した。

三部構成は単純に時系列に沿った順序にはなっていない。特に第一部内の章構成は絶妙で見事だし左派視点を時系列に従わずに最終章に持ってきた辺りは監督の思いを感じる。やや語りに頼る第二部よりも一部、三部が興味深かった。
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