Matilda

帰ってきたヒトラーのMatildaのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
4.0
6/9に試写会にて観賞。
今日から公開ということでレビュー書きますね。

久しぶりのドイツ映画。
2年間大学の語学必修でドイツ語を学んだ私としては、懐かしい発音(笑)
意外と聞き取れるところも多くてちょっと嬉しかったですね。

ヒトラーが現代にタイムスリップするという誰も考えなかったであろう設定。まず設定自体がきわどすぎるので、観るこっちまで緊張してしまいました。
しかし、上映が始まると、会場内から笑いが。もちろん私も沢山笑いました。気がついたら笑っていました。それくらいとっても面白かったんです。ヒトラーがなんだか可愛く思えたり。
でもだんだん行動や発言からは行き過ぎた考えが垣間見えてきて、そして人々が完全に彼に惹きつけられているのを見て、怖くなりました。彼の演説には作品外の観客でしかない私まで見入ってしまったくらい。
そこから最後までは本当に怖かったです。衝撃的というかなんというか…作品が観客に投げかけてくるものが重すぎる。うまく言葉では表せないような気持ちになりました。

それでも今作はただの映画です。
映画の中のヒトラーはヒトラー本人ではないし、私達の解釈で生み出したヒトラーですから、本人が当時何を感じていたのか、どんな考えを持って行動していたのかは私達には分かりません。映画とは全然違うかもしれない。
今作のヒトラーは自らの信念を貫いているだけで、悪気はありません。もし本物のヒトラーもそうなら?もし、そのヒトラーが本当に現代にタイムスリップしてきたら?そう考えると恐ろしいです。

前半のコメディ要素が軽快であるからこそ、観ることができた映画だと思います。
「もう遠い昔のことだし、ヒトラーのことをコメディ映画にしてもいいだろう」とかそういう軽い考えで作られたものではないと思いました。
現代なりの方法で、嫌な思いをする人がなるべく少なくなるように、うまく人々に疑問を投げかけているのではないかなと思います。深読みしすぎですかね?(笑)
Matilda

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