ナガノヤスユ記

帰ってきたヒトラーのナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.5
SNSの写し方には結構な好感。特にモキュメンタリー的な部分はかなり興味深い。右派政党が議席を伸ばしつつある今のドイツ事情が少なからず垣間見える。
ヒトラーのカリスマはやや誇張気味で、現代ドイツで彼が人気を獲得する過程にリアリティはそこまでないものの、アメリカでトランプ旋風が巻き起こり、英国の国民投票がEU離脱を示した今日、単なる絵空事とは言い難い。今の民主主義はかつての反省を踏まえ、国家的暴走を食い止める柵が色んなレイヤーで存在する(はず)。強大な「単数」としてのナチズムやヒトラーを生み出す可能性は幾分低いとは思うものの、ネットツールなどの汎用によって、より「複数」的なヒトラーの出現はむしろ今の方が容易に実現されるかもしれない。

それにしても女局長のリーフェンシュタール感。死後10年以上を経ても彼女とナチスの関係については今だ厳しい見方が大勢なのかなと感じた。