ドキュメンタリーとモキュメンタリーを行ったり来たりする映画。
タイムスリップして現代にやってきたアドルフヒトラーがモノマネ芸人と勘違いされてドイツで流行ってしまうというストーリー。メインストーリーに関しては勿論モキュメンタリーだが、街頭ゲリラロケでヒトラー役の人が街行くドイツの人々に「困り事はあるかね」とインタビューするパートはドキュメンタリー。特に、ネオナチに殴り込みをかけて「お前らはヌルい」と説教をこく総統とガチ凹みする党員の構図は笑える。
他、Googleで「世界征服」で検索を始める総統など細かいギャグに事欠かず、テレビ出演時の首相就任演説のオマージュ等、歴史ファン必見な見所も数多。
がしかし、笑えば笑うほど後半部のある場面で観客の受けるダメージは大きく、現実に起こった悲劇を叩きつけられる。また、ホラー映画風などんでん返しもあり、物語映画としても優秀。
いつの時代にも一見まともそうなことを言っている声のデカい人はいるもので、「自分はわかってるから」とダブルスタンダード的に消費していると、うっかり数百万人が死んだりするのが歴史の常。そういう人には用心しようね、な一本。
