あさのひかり

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のあさのひかりのレビュー・感想・評価

4.3
新進スターのジョン・F・ドノヴァンと、子役の少年ルパートがひそかに文通してたことから起こったことを、成長したルパートが回想する。

ジョン・F・ドノヴァンの孤独に胸が締め付けられる。彼を愛する人が決していない訳じゃない。けれど、スターとしての仮の姿があって、それとは違う本来の彼があって。そんな厄介なものを抱えながら、それでもそのまま彼を受け入れてくれる存在がいなかった、あるいは彼がそのままをさらけだせる存在がいなかった苦しみ。笑顔の中に隠れた悲しみ、うれしいはずなのにスターとしての立場から拒絶をしてしまう彼の表せない痛み・・。

似ているけど少し違うルパートの存在が、ジョンにないものをより比較で理解できる。特に母親との関係性の違いは大きいような。決してルパートも完全に良好とはいえないけれど、それでも、ルパートをそのまま受け入れようという思いを感じる。ジョンの母親はなんか愛が一方通行だもんねえ、あれつらいよね。だから、スターでもあんな魅力的でもないけど、分かり過ぎて辛かった。そして、そんなルパートの存在が映画的にすごく救いになってる。本当に良い映画だった。
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