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キース・リチャーズ:アンダー・ザ・インフルエンスのtoshiのレビュー・感想・評価

5.0
本日人間ドックで受診後は休暇をいただき時間が出来ましたので映画を観たいと思い近所の映画館に向かいました。が、胃の検査でバリウムのを飲んだ為下剤も飲まなければならず、何時激しい腹痛に襲われるか分かりませんので自宅にてNETFLIXを漁り今作を見付けました。NETFLIXで今作を作っていたとはつゆ知らず迷わず鑑賞です。

2015年にクロスアイド・ハートというアルバムを23年ぶりに発表したキースのドキュメンタリーになる今作。煙草、アルコール、ドラッグ、全てのジャンキーの生みの親である彼には人間ドックなんて無縁でしょう。朝食はジャックダニエルなキース・・・。彼がドラッグを絶つために全身の血を入れ替えたという嘘か真か分からない逸話はストーンズファンの中ではあまりにも有名でございます。

約1.5hである今作はキースの思いで一杯で、あっという間の鑑賞でございました。

通学中の電車の中で、ミックがマディ・ウォーターズやチャック・ベリーのアルバムを小脇に抱え、それをキースが見付けて感動しすぐ声をかけた・・・、このストーンズ誕生話はこれまでも様々な媒体で何度も聞いたり、観たり、読んだりしてきましたが、ここにきてキース本人が嬉しそうに語るシーンを観る事が出来感動再び!でございました。

キースが愛した楽曲やミュージシャンを語る今作にはもう1つの特徴がありました。それは楽器です。キースはギターだけではなく歌は勿論他の楽器も起用にこなすことが出来ます。ベースに至ってはベーシストとしても十分活動できる腕前です。例えば悪魔を憐れむ歌のキースが弾くベースラインはあまりにも素晴らしくビル・ワイマンなんて足元にも及びませんw

キースが愛した楽器も一つ一つ辿り、そこで出会った音楽やミュージシャンに対して語る内容が印象的でした。特に印象的だったのはイアン・スチュワートとグラム・パーソンズ。スチュはデビューするまでストーンズのメンバーでしたが、ルックスが合わないというだけでマネジメントのアンドリューにストーンズから外されてしまいます。でも彼は矢面に立たず影でストーンズの音楽をずっと支える事を選びます。因みにキースは同じことをアンドリューに言われたらファック・ユーだ!と返すと後に語っております。キースらしい・・・w スチュのピアノは、彼が生存中多くのストーンズのアルバムで聴くことが出来ます。スチュがお亡くなりになった時のストーンズメンバーの悲しみは計り知れないものがあり、またファンも最高のミュージシャンがまた一人この世を去ったと悲しみました。スチュの事はこれまで色んな個所で語られてきましたが、キースは今作でもスチュに教わったピアノを弾きながら語ります。キースにとってもそれだけ最高のメンバーだったわけです。イアン・スチュワートは紛れもなくストーンズのメンバーでした。

そしてグラム・パーソンズ。彼とキースが知り合わなければストーンズの数々なカントリーブルース調の名曲は生まれることはなかったでしょう。

ブルースをこよなく愛すキース。原点はブルースにあり、そこから沢山のオリジナル曲を作り上げるロックミュージシャンにのし上がります。彼の楽曲で印象的なのが何と言ってもギターリフでしょう。例えばブルースの曲でボトルネックを使用する場合、チューニングをオープンチューニングに変えることが多いですがキースはオープンチューニングを利用し耳に残る数々のリフを作り上げてきました。私も一時期ストーンズばかりをバンドでカバーしていた際、ギターの6弦を外し5弦だけにしてオープンGチューニングでギターを弾いていたことがありますが、全開放(弦を全く抑えない)でGのコードを始めて弾いた時は、「おお、キースだっ!!」と感動したのを覚えております。

ワクワクするキーワード盛りだくさんの今作ドキュメンタリーを、キーワード毎にレビューするとこれ以上の恐ろしい長文になりそうなのでここらで止めておきます。

最後に・・・・。今作最後キースが語った「老いじゃない 進化だ!」
この一言は心打たれました。キース、ありがとう!!
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