湯林檎

メッセージの湯林檎のレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
4.9
今まで自分が観たSF映画の中ではNo.1であり、人生の教科書のような作品。

SFだけどハリボテ感のないリアリティのある美しい映像、フェルマーの定義、サピア=ウォーフの仮説を駆使した級密なストーリーと世界観、映画全体を演出する音楽、そして登場人物を演じる役者たちの演技の全てが最高!!

主人公の言語学者ルイーズを演じるエイミー・アダムスと彼女を手助けする物理学者イアンを演じたジェレミー・レナーは知的な大人の演技をしていてとても見応えがあった。個人的になぜこの2人がこの年にアカデミー賞の女優賞と男優賞にノミネートされなかったのか不思議である。

⚠️以下は思いきりネタバレをしています。未鑑賞の方はここで読むのをストップすることを"強く"お勧めします。




この映画のストーリーの時間の流れ方がリングのようにループしていることの意味とヘプタポットの "武器”の提供の意味が分かったときの爽快感がとても心地良かった。未来のために世界が手を取り合うこと、それはお互いの文化を理解し強調し合うこと。言語は文化を理解する最高の"武器 "であること。そういったメッセージ性の表現法が理知的であまり例を見ないテーマであるのも魅力的。
ルイーズとイアンが夫婦になり、ハンナという名前の娘を授かるもののやがてハンナは病で夭折しイアンとも別れてしまう未来が表すものは"愛とは幸せだけじゃなく苦悩も伴うもの "という風に私は解釈した。

ヘプタポットのメッセージはいつの時代にも通じるメッセージ。きっとそうである。

P.S.Twitterにて今作のOP&ED曲の「On the Nature of Daylight」(マックス・リヒター作曲)をアップしました。
https://twitter.com/yuringo00001/status/1278093975753158657?s=21
湯林檎

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