エクストリームマン

リメンバー・ミーのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
3.2
No Music!

とても良くできているとは思うけど、最後まで観て、出奔した(と思われていた)曾々祖父が本当にただのロクでなしだったら、果たしてミゲルはどうしていたのだろうかと考えずにはいられない。まぁ、そんな現実に対して夢を語るのがこの手のエンタテインメントの役割ではあるのだろうけど、生前の関係性をそのまま引き写しにする死者の国なんて地獄でありこそすれ天国であるとは思えないわけで、既に死ぬ前から存在する価値観の溝の向こう側に当たり前のように立っている人々向けと思えてならない。勿論、それがメキシカンの死生観なのかもしれないが、彼らにしろ沖縄のニライカナイにしろ、どうにも受け入れ難い。幽かな救いは、冒頭の方で誰からも忘れられたために消え去った男の存在で、二度死ななければならないことが手間であることを別にすれば、あの世界でも極力ひと目につかないように生きれば消滅の希望は残っている。