YasujiOshiba

キングコング:髑髏島の巨神のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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怪獣が出て来る『地獄の黙示録』。サミュエル・L・ジャクソンはロバート・デュバルってところで、ジョン・C・ライリーはすっかり毒気の抜けたマーロン・ブランド。トム・ヒドルストンはマーティン・シーンかな。

戦場カメラマン役のブリー・ラーソンは、『ルーム』(2015)でアカデミー賞を取った女優さん。あの映画はよかったけど、キングコングの諸先輩方と比べると艶っぽさに欠けるんだよね。ジェシカ・ラングやナオミ・ワッツなんて、ドキドキしちゃったんだけど、そういうのはこのキングコングには求められていないってことなんだろうな。代わりに、水中に沈むブリーをすくい上げる見事な映像があるけど、あれにエロスはないもんね。

こうしてエロスのないキング・コングは、パイロットのいないエヴァンゲリオンとなって、宇宙からの使徒さながらの姿で地下から這い出してきたスカル・クロラーと戦うことになる。そのスケール感は、なるほど庵野ワールドをCGに移し替えたような出来だから、見ているだけで楽しめるのだけど、どことなく物足らないのはどうしてなのか。

われらがサミュエル・L・ジャクソンが、コングさながらの形相を見せてくれるているにも関わらず、あっさりと消えてしまうからだろうか?ジョン・グッドマンがコーエン兄弟のもとでは見せつけた存在感を発揮しきれていないからだろうか?トム・ヒドルストンが、どうやってもダニエル・クレイグのようなイギリス人になりきれないからだろうか?

なんて思っていると、エンドクレジットが終わったとき、その理由がはっきりとわかった。この髑髏島のコングのお話、118分の予告編だったんだね。そりゃ物足りないはずだわさ。
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