オリカ

葛城事件のオリカのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
3.9
実際に起きた「附属池田小事件」などを元にした映画。
なぜ無差別殺人犯となってしまったのか…
彼の心情や生い立ちなどが描かれています。

もう、、なんというか。とても疲れました(汗)
無差別殺人犯である稔、兄、父と母。稔と獄中結婚した稔の妻を中心にストーリーは進行していくのだけど、この映画の登場人物に正常な人は誰も居ません。

彼らの闇の部分は誰にでも潜んでいて
どこか他人事ではなくて、それがとても怖い。
「いつか一発逆転してやる、見返してやる」と思いながら引きこもる稔と
横暴で支配的な父親、その支配によって思考停止している母親、良い子を演じ続ける兄。
割とこういう家族は多いと思うけど、ここまで歪んでしまうと修復不可能だと思う。





---------以下ネタバレ----------



この家族って全員現実を直視せずに 逃げたり蓋をして上辺だけ取り繕っているだけで、本質的な問題を何も解決しようとしないんですよね…。
それで状況が悪化したら他人のせいにして、、、っていうのを繰り返してきたのだなぁと思う。
(色々麻痺して何が問題なのかもわからないのかもしれない)

ただ、兄と稔に関してはこの父親による暴言や暴力、抑圧のせいでこうなっているのも事実なので稔の歪んだ感情も多少は理解できる。
特に兄に関しては最終的に自殺してしまったけど、子供の時から自分を押し殺していたので とっくの昔に自我は死んでいたのだと思うし。

保(兄)が父親の仕事場(親から継いだお店)に立ち寄るシーンがあるのだけど
お客は誰も来ず、父親はものすごく暇そうにしている。
レジに座ると店の外の風景なんてほんの少ししか見えない。
父親は偉そうなことばかり言っているけど、父親が見てる世界って狭いなぁって思わせるシーンだった。
実際なにも見えてないし、誰の心も理解できてないよなぁと。
何か諭す様なことを言っても「俺が何をした!」「俺だって被害者だ!」と反発するだけで本当に見ていて不愉快だった。
確かに稔が犯した罪は稔が償わなくてはいけないけど、なぜそうなったのか考えもしない。弱い人なのだなぁと感じた。

母親は現実逃避と思考停止で場違いな場面でヘラヘラしていて違う意味で怖い…。
思考停止しないと生きていけないのかもしれないけど。
食事がコンビニ弁当とかインスタントばかりで切なかった。
食べるシーン、、どれも不味そう…。

殺人犯となった稔に関しては犯罪さえ犯さなければ同情の余地もあったのだけど…最初から最後まで嫌な印象しかないし理解出来なかった。
獄中結婚した妻も、本当に謎だった。
「私は愛します。家族だから。」とか言う割には、死刑執行された後も悲しんでいる様子はなく、残念そうにしているだけだったり。
結局自分の野望(死刑制度を廃止したい)の為の結婚だったのかな…

家族って一体なんだろうって考えてしまった。
オリカ

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