木葉

ハッピーエンドの木葉のレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
4.2
SNS社会、上部だけの世の中に警鐘を鳴らした本作は怖面白い。
お金があっても、幸せだとは限らない。
この映画もそんな破たんしているブルジョワ家族の闇に迫る。
自殺未遂をしようとする、おじいちゃんと孫娘を軸に、会社を継ぎ自分の思うように事を運びたい娘ユペール、ユペールの弟で孫娘の父親、カソヴィッツは家業を継がず医師をしているが、再婚した若い妻との間に子供が出来たのにも関わらず、不倫中でもある。またユペールの息子のダメっぷり、お手伝いの移民夫婦、皆悩みや秘密を抱えている。気にかけているように見えてその行動や言動は、冷たく他人事だ。食事の時だけ皆でテーブルを囲むが、そこに会話や温かさはなくまさに、ディスコミニュケーションである。
皆、他人の痛みや出来事には無関心であり、無慈悲である。
恐ろしく衝撃的な出来事が起こっているにも関わらず、異常なことを異常に見せないハネケは、私たちの周りでも起こっているのかもしれないのよと注意喚起を促しているようだ。
エゴイズムの塊で鈍感で空っぽで歪んだ人たちを見て我に返る事ができる。
ネットが普及し、何もかも可能で満たされているように見える時代、心は貧しくなり、社会や人が病んでいることにすら自覚のないことを気付かせてくれると同時に、人が失いつつあるものを思い出させてくれる。
木葉

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