木葉

はちどりの木葉のレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.1
世界は不思議で美しい(劇中のセリフ)。
理不尽で自分の力では消化出来ない出来事が起こったりするけれども、
生きていればこそ、生きる価値を感じる美しい瞬間に出会えたりもする。
舞台は90年代激動のソウル。主人公中学生ウニと一緒に、子供の頃に置いてきたもの、逃げ出してきたものを、もう一度探しに行き自分の手でしっかりと掴むような映画であった。
悪いことしか思い出せない過去、目を背けたくなるような現実、先の見えない未来の中で、虚無感、孤独、繊細さを抱えながら生きたあの頃、そして今をしっかり直視して消化して欲しい。
逃げ場のない現実の中に、主人公ウニに自身を被らせもう一度人生をなぞり、宿題の答え合わせをする。
一番人間らしい部分の、弱さ脆さを肯定し、客観的に自分を見つめる、久々に出来た素晴らしい映画体験であった。
2000年代以降沢山の韓国映画を観てきたが、ペパーミントキャンディ、殺人の追憶、オアシス、チェイサー、息もできない、そして今年、はちどりに出会えたことが私はとても嬉しい。
木葉

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