satchan

ガタカのsatchanのネタバレレビュー・内容・結末

ガタカ(1997年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

イーサン・ホークの若いときの姿を堪能できました。ユマ・サーマンとの出逢いの映画だったので、以前から見たかった映画です。土星の月(衛星)タイタンへ飛び立つ宇宙飛行士を育成する物語。どんな目的でタイタンへ行くのか、作中では語られていませんが、太陽系内の衛星としては唯一、大気や液体のメタン、エタンを持つ天体らしい。でも、宇宙へ飛び立てるのは、DNA操作によって生まれた適性者だけ。運動能力、知的能力が優れていて、身体的にも欠陥のない者だけに機会は与えられます。イーサン・ホークが演じるのは、不適正者のヴィンセント。彼は子どもの頃から身体が弱く、そのことを危惧した両親は、適性者の子を望み、弟アントンを遺伝子操作によって授かります。ヴィンセントは全ての面で弟アントンに劣っていましたが、肝試しの遠泳の時だけは負けませんでした。

ヴィンセントの夢は、不適正者には許されない宇宙飛行士になること。タイトルの『ガタカ』は宇宙飛行士を抱える航空宇宙局の名称ですが、ヴィンセントはガタカの清掃員として働き始めます。そして、宇宙飛行士になるという夢を叶えるべく、適正者ユージーン(ジュード・ロウ)になりすますのでした。ユージーンは元水泳選手で銀メダリスト。交通事故で両足が不自由になり、車椅子生活を送っています。ガタカでは、あらゆる検査をして施設への入室が許可されます。ヴィンセントは適性者ユージーンから指紋・血液・尿等の提供を受け、その見返りとして、身体の不自由なユージーンの生活を保護しています。ヴィンセントはユージーンから提供された血液サンプルなどを用いて、何食わぬ顔でガタカに勤め、タイタンへの出発の日を待ちわびます。適性者だけが宇宙飛行士になれるのなら、育成する必要もないような気がしますが、トレーニングをしたり、PCを操作したりして、毎日検査があります。本人確認の度に、ヴィンセントがユージーンではないとバレるのではないかと、緊張感が走るのですが、それがこの映画の見どころかもしれません。何度も訪れる危機を乗り越える様子はスパイ映画を見ている感じ。恋人のアイリーン(ユマ・サーマン)と、弟のアントンには見破られていますが。最後の最後に見逃してくれた医師にも。 

それにしてもジュード・ロウが若くてかなりキュート。『リプリー』より前の作品は初めてかも。ユージーンが一生分の血液や尿のサンプルを冷蔵庫に準備したシーンで、結末で自殺するな〜と予想できました。でも、自殺方法が衝撃的。まさか、自ら焼却炉に入るとは、それが「旅」?でも、何で?完璧に生まれて来たのに。完璧に生まれた人は完璧な自分で生きることしか出来なくて、完璧でなくなった瞬間に生きる目的を見失う。反して、完璧ではなく生まれた人は、人を騙してでも夢を実現出来る。皮肉な感じがしました。実際の世の中もそうかも。与えられた能力に甘んじる人ではなく、努力した人が報われる。報われてる?

ちなみに、イーサン・ホークは若過ぎて、魅力に欠けてました。やはり『ビフォアシリーズ』『デイブレイカー』『プリデスティネーション』辺りが良いな。
satchan

satchan