Inagaquilala

ゴジラvsコングのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)
3.6
自分的には、ハリウッド版の「ゴジラ」のほうが好みだ。1954年のデビュー作の「ゴジラ」では圧倒的に人間たちにとっては恐怖の対象だったのが、その後、人類の味方的扱いで闘う「正義の怪獣」のようになるに従って、日本のゴジラはややアイドル化の道を歩んでいった。それを打ち破ったのが、ハリウッド版の「GODZILLA ゴジラ」(2014年)だった。姿形は多少日本版とは異なっていたが、その圧倒的な凶暴性や恐怖の対象としては申し分ない役柄は、あらためてゴジラの存在を印象づけた。その後「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(2019年)も製作され、順調に恐怖怪獣の道を歩んでいた。

時を揃えるようにして、日本でも新たなゴジラ像を追求した「シン・ゴジラ」(2016年)という作品が現れ、ゴジラという存在は、恐怖の対象として、「水爆大怪獣」として登場したデビュー期の頃に戻っていった。今回の「ゴジラvsコング」では、その位置付けがキングコングと戦うことでどのようになっているのか、興味津々だったが、これもまた、日米の両雄を並び立たせるために、新たな「悪役」が創造されたため、ゴジラの立ち位置が少し曖昧になってしまったように思う。

前回の日本の東宝製作の「キングコング対ゴジラ」(1962年)では、両怪獣の決着はぼやかされたものになっていたが、またしてもこの2度目の決戦は、新たな要素のために微妙なものになっていたように思う。その設定は、まさに苦肉の策だったのだろうが、期待外れであったことは否めない。ただ前回の決戦と比べれば、50年以上もたち、明らかに映像は進化しており、それはそれで見どころではあるが。日本版が「キングコング対ゴジラ」、今回のハリウッド版は「ゴジラvsコング」、製作した側ではないほうが頭にくるというのは、相手側に対する配慮なのか!?
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